映画『模倣犯』感想
何故、人を殺しては、イケナイノ――?
【あらすじ】
1996年9月12日早朝、一家惨殺事件の唯一の生き残りである塚田真一は、犬の散歩中に、大川公園で女性の右腕を発見する。同じ公園からは、失踪したOL・古川鞠子のハンドバッグが発見され、マスコミが大騒ぎするなか、犯人を名乗る人物はテレビ局に「右腕は古川鞠子のものではない」という内容の電話を掛ける。さらに、古川鞠子の祖父の有馬義男のもとにも、犯人から電話があり、孫娘を心配する有馬の心を弄ぶかのように、有馬を翻弄していく。
やがて、犯人の指示で有馬あてのメッセージを届けた女子高生の死体が発見され、古川鞠子の白骨体も第三者の会社に送り届けられる。死者を冒涜するかのような犯行やマスコミに対する不敵な挑戦。そして、有馬をはじめとする被害者遺族に対するあまりにもむごい仕打ちに、犯人に対する捜査員や一般市民の怒りは日に日に強くなっていた。
11月5日、群馬県の山中で一台の自動車が崖下に転落し、事故車のトランクから1人の男性の死体が発見される。自動車を運転していた栗橋浩美と助手席に座っていた高井和明の2人も事故のために死亡していた。連続女性拉致殺害事件の犯人たちはこうして死亡したものと思われたが……。
【感想】
結構好きです。
酷評されてこそいますけれど、僕的には好みドンピシャでした。
公式ガイドブックみたいなのを見る限り、監督さんは監督さんで原作に忠実にやろうとは頑張ったんだけど、どうしても織り込みたい隠喩や、(すっごいわかりにくい)メッセージとかがあふれ出てきちゃって、結果物語が少し破綻した、っていう話みたいです。
まぁ、ストーリーは皆さん仰ってる通りそこそこにクソ(原作に忠実かどうかで言えば)なんですけれど、いちいち台詞がかっこいい。
特に、最近スカッとジャパンなどのテレビで見かける津田幹事さんが演じる栗橋浩美。「WHAT?! ピース、お前は頭の中に冷蔵庫でもあるのか?」「女の体を知るには、まず言葉から」「お前が顔をさらせば警察じゃ無く女がついて回るぞ。有名人好きの女がこぞってお前の好きなことをしてくれるぞ」とか……。多分、洋画とかの台詞回しを意識したんですけど、そういう台詞の随所随所に異常者感があってすごいと思う。
(あと、「マスコミを女のように嘗めてやれ。ケツの穴までな」ってピースくんに言われたときの「ケツノ アナマデナ」っていう言い方すごく好きです)
それでも矢っ張り脚本はクソです。とことん考察しないと理解できない感じかな。
因みにぶん投げられたままの伏線は三つで、
・途中で出てきたピースの余罪について
・ピースの自殺の動機
・最後に出てきた赤ん坊の親
一つ目に関しては、本当によく判らないです。実際にピースが外国で犯した犯罪なのか、それとも【PEACE】という名の人物は複数人いて、それらの人が犯した犯罪について語ってるのか。
個人的には、サイコパスであるピースが、誰かを騙すために騙った犯罪歴説を推します。それをいちいち執念深く覚えているんだよ、きっとピースさんは。
ピースの自殺の動機は、まぁ……ある程度考えればわかるかな、って感じなんですけど、矢っ張りいまいち判りにくい。
単純に警察に逮捕されることを恐れたのか、それとも作中でいっていた『アナログな意識を捨て去り、デジタルの存在として生きていく』ために死んだのか。(僕は不死身です、的な趣旨のことを言っていたから多分後者? でも原作を準拠に考えれば前者も濃紺なんだよなぁ……)
三つ目。赤ん坊の親。
ほんっっとに誰なの??????? 父親がピースさん、っていう情報以外無いんだけど?????
ピースさんの自殺同様、オリジナルの要素です。誰やねんお前。
取り敢えずピースさんが父親、鞠子さんが母親説を推します。原作では、鞠子さんが居なくなり、死体として見つかるまでの時間は明記されてなかったけど、映画公式では十ヶ月とされてるから、子供を産んでから鞠子さんは殺されたのかなぁって。だとしたら作中時、既に赤ん坊はピースの別荘にいないとおかしいんですけど……どうしたんだろう、ほんとに……。
ってか高井和明、絶対に藤井隆に当て書きしましたよね。草。